移住者インタビュー

森と奏でる癒しの音色

タオライアー奏者 Nonoさん、楽器職人 ゆうじさん

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展望台から見る見渡す限り山の光景に感動

タオライアー※1 奏者のNonoさんと、タオライアーを作る職人であるパートナーのゆうじさん。
お二人の移住はNonoさんが南郷を旅行で訪れたのがきっかけでした。
Nonoさんは森が好きで、住むのなら山の中が良いと思っていました。
タオライアーを森の中で奏でるのも気持ちが良いそうで、タオライアーの弦から伝わる振動が、木から木へ、根から根へ、枝から枝へと森全体に伝わり、鳥たちもさえずりだすのだとおっしゃっていました。

※1 タオライアー
  Andreas Lehmann氏が、心と身体の癒しを目的として考案した楽器

タオライアー
(写真提供:Nonoさん)

震災後、青森に住んでいたNonoさんは、南郷の友達とドライブに行った八戸市民の森不習岳の展望台で忘れられない景色に出会います。
見渡す限りどこまでも続く山。
そこには、八甲田山や名久井岳、岩手にいたる山々が一面に広がっていました。

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(写真提供:Nonoさん)

 

その景色に感動したNonoさんは、その時、「私はここに住む」と移住を決めたそうです。

 

「眺めで決めた移住、山頂のふもとに家が見つかったことにご縁を感じます」

移住する際、演奏やワークショップをするための広いスペースがあれば良いなと考えていたNonoさんは、空き家を探そうとSNSで呼びかけました。
5件ほど探したそうですが、荷物が置かれたままであったり、家主に会えなかったり、色々と交渉も必要で、地方への移住の難しさを感じたそうです。
そんな試行錯誤の家探しの中でつながった島守の区長さんから、今住んでいる家を紹介していただいたそうです。
家の中を見せてもらったところ、あるといいなと考えていた薪ストーブがあり、12部屋もあるその広さも気に入り、ここに決定!
売りに出された空き家でしたが、交渉をし、お借りして住む事になりました。
結果的に、絶景に感動した展望台のある不習岳のふもとに住む事になったNonoさん。
ここからの眺めもまた良く、東に階上岳や朝日が臨め、西に名久井岳や夕日が沈んでいくのが見えて、「こんな素晴らしいところないですね」とおっしゃっていました。
「ここに住むからね」と大阪にいたゆうじさんに宣言し、お二人の移住生活が始まりました。

夕日
(写真提供: Nonoさん)

薪ストーブ

 

田舎暮らしは不便?

都市部との生活と比べて不便だと思われる点として通勤や買い物について質問したところ、ゆうじさんは「東京や大阪の人は電車通勤で一時間半くらいかけていることに比べたら車で三十分は気が楽。いつでも買えるスーパーが近くにあると無駄な買い物をするし、遠いからこそ必要最低限のものを買って帰れる」とおっしゃっていました。
青森は雪深いよと言われても、日本海側に比べれば少ないですし、特に不便は感じていないとのことです。強いて挙げるなら、携帯電話の電波状況くらいだそうです。

「街に住んでいたらこんな美しい朝日は見られないだろうし、季節の移り変わりはあまり分からない。夕日が沈むところをずっと眺めていられることもないだろうし。本当にまわりに余計な光がないので星空がすごくきれい。星屑というくらい星の数がものすごい。毎日ただいまと帰ってくると『わぁ』となる」とNonoさん。
八戸市の好きなところについて聞いたところ、「南郷が好き、市内というよりは。やっぱり森がね。帰ってくるとホッとする」とおっしゃっていました。

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近すぎず、遠すぎず、地域との程よい距離感

区長さんの紹介で見つけた家だったということもあり、Nonoさんたちのことを区長さんが島守の人たちに紹介してくれていたそうです。
ごみ捨てのついでに散歩していたとき、「あなたのお家、ここが良いんじゃないかなと言ったのは僕なんだよ」とおじいちゃんが声をかけてくれ、そこから色々話して盛り上がったことも。
大家さんも良くしてくれるとのことで、空き家だった頃に大家さんが裏にある畑で育てていた枝豆などの野菜を食べていいと言ってくれたり、ハチの巣ができたときも駆除してくれて「またできたら言ってね」と声をかけてくれたそうです。

枝豆などの野菜
(写真提供:Nonoさん)

外観

南郷島守地区に住むコミュニティアーティストの山本耕一郎さんとのご縁もつながります。
アートプロジェクトの一環で南郷の人や色んな所から来た人たちと交流する「barスマモリ」でNonoさんたちが来たばかりの移住者組としてマスターを務めたときも、隣の家の方が野菜を持ってきてくれて仲良くなったり、南郷出身の若い人ともつながることもできたとおっしゃっていました。
公民館で催された、おじいちゃんおばあちゃんとのふれあい教室に呼ばれ、Nonoさんはタオライアーを演奏しました。
外の人たちがやってきても、南郷の人たちはあたたかく受け入れてくれていると移住してきてからずっと思っているそうです。

 

「ここならではのできることをやりたい」

そのひとつとして燻製を紹介してくれました。

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煙が出るので街で燻製を作るのははばかられます。また、道具を揃えるとなるとコストもかかるものですが、この燻製器はゆうじさんが一斗缶で作ったのだそうです。
「こういうのもみんなで集まってできたら楽しい。意外と手軽に作れるが、実際に自分で作ってみようと思ってもハードルが高かったり、やったことがないからやらないという人は結構いると思う。そういうのを一緒にやりますかとなったら良いですね。」と、ゆうじさん。

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これから広いお家を利用して、ここならではの様々なワークショップを開催したいそうです。
さらに、「タオライアーには発祥地であるドイツの木を使うけれど、その土地の人がその土地のものを食べることが身体に合っているように、日本の人には日本の木で作ってみたい」とゆうじさん。
せっかくの素晴らしい木を刻んで紙や燃料にしてしまうのが悔しいと、森林組合の方からお話を伺ったこともきっかけとなり、素晴らしい木の豊富な青森で、自然と循環しながら大切に木を使い、木に関わる方々と協力しながら青森県産のタオライアーを作りたい、また、その工房を開きたい、と考えているそうです。

ワークショップ
(写真提供:Nonoさん)


グリーンツーリズムで近所の農家さんが働き手が欲しいけど泊まらせることができないというときに提携してNonoさん宅に泊まれるようにできたら、と考えているともおっしゃっていました。
「八戸市内に限らず、全国から集まって、泊まったり、一緒にご飯を作ったり、好き好きなことをしてそれぞれが刺激し合えるような場所がここでできたら面白いよね」と語ってくださいました。

椅子

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ホームページ

https://nonotaolyre.jimdofree.com

ブログ

https://nonolyre.themedia.jp/