八戸市での起業事例紹介

本のまち八戸に誕生した大人の時間が流れるBook Bar

AND BOOKS

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窓からこぼれる灯りを目当てに、階段を上がってドアを開けると、壁一面の蔵書に圧倒されます。店内の2,000冊もの本や雑誌は、すべてオーナー本村春介さんの所有のものです。

飲み物をオーダーし、店内の書籍、雑誌、持ち込んだ本を好きなだけ読めるBOOK Bar、カウンターだけのお店です。窓側3席のカウンターは、読書に集中したいお客さんの特等席になります。

ノーチャージのため、映画上映までの待ち時間や、待ち合わせまでのほんのわずかな時間に立ち寄れるのも魅力です。

カウンター

「本を開いているお客さまには話しかけない」という本村さんの気遣いも居心地の良さにつながり、オープンから口コミやSNSで広まり、女性客を中心にじわじわと来店が増えていきました。

十年来の空き店舗物件で 知る人ぞ知る店を目指しています

もともと大の読書好きだった本村さん。いつかBOOK Barをやりたいという構想は胸の奥で温めていました。

「一度きりの人生、好きなことをやってみるか」きっかけは、突然訪れました。

思い立って会社を辞め、店のオープンに向け、準備を進めていきました。「脱サラを許してくれた奥さんには感謝しかないですね」と目を細めます。

たどり着いた物件は、十年来空き店舗だった場所。「半年間で様々な物件を見て歩きました。他の店での修行経験もなかったのですが、勉強していくうちに、店を経営するにあたって、大事なのは固定費、つまり家賃を抑えることなんだとわかりました」と本村さん。

店舗の所在地は、チーノはちのへ南側の四つ角を渡った区画の2階にあります。にぎわいのある飲み屋街からは少し離れているものの、中心街には歩いて行ける場所です。

「店舗経営を勉強するうち、来店目的には、”目的来店”と“衝動来店”の二通りあることがわかりました。私が目指すのは、目的来店の知る人ぞ知るお店なんだなと明確になりました」この空き店舗を選んで正解だったようです。

マイペースで内装を手掛けるうちにDIYの楽しさにハマりました

本棚

店を構えることを決めてから、グラフィックデザインソフトで店舗のイメージを描き、コツコツと内装を進めていきました。

「図面が残っていなかったので、自分で測り、図面に起こしてから内装を進めました。工事現場で使い込まれた足場板をネットショップ経由で取り寄せ、床板と本棚を自作しました」

内装

オープンからもうすぐ半年の店内に、こだわりの床板が渋さを醸し出しています。頑張らずマイペースで内装を進めるうちに、DIYの楽しさにすっかりハマってしまったそうです。

ショップカード

内装だけでなく、スタイリッシュで洗練された“しおり”と“ショップカード”も、本村さんがデザインしたオリジナルです。読みかけの本にしおりを挟んで帰ってしまってもOKなのが、この店のゆるいルール。読書家の本村さんならではの気遣いですね。

大人のお客さんが多く 恵まれています

書籍は、誰でも手に取れるようなジャンルをあえてセレクトしたそうです。酒、酒場、食、地元作家、歴史、映画関連の書籍、そして雑誌が並びます。雑誌は、普段本を読まない人でも気軽にパラパラとめくれるようにという配慮からです。

書籍

開店から一時間で、様々なお客さんが入れ替わりで訪れます。「どちらかというと読書に集中したい方ではなく、受験勉強をリビングでやるような方向けの店かもしれませんね」とお客さんの層を分析します。

ご自身は、「エッセイや紀行ものなど、穏やかな内容の本が好き」なのに、「安部公房はお気に入りの作家です」とおっしゃいます。マスターとの読書談義に花が咲きそうです。

最近お勧め本についてたずねると、古書店で出会った吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』を挙げてくださいました。「全体的に読後感がやさしかった」のが理由だそうです。

カウンター

「節度をわきまえた、大人のお客さんが多いですね。恵まれています」
店内が混み合って来ると、席を立って次のお客さんに譲ってくれたり、珈琲1杯で何時間も滞在するのではなく、2杯3杯と追加注文する気遣いができたりするような方ばかり。本村さんの気遣いや店全体の雰囲気がそうさせるのかもしれません。

お酒や食のメニューにもこだわっています

店名の「AND BOOKS」は、ショップカードにあるように、SCOTCH、BEER、WINE、SAKE、COFFEE、TEAといった様々な飲み物を提供する“BarとCafé”のあいだ、そして“飲物 と 本 ”を意味します。

ウイスキー

ウイスキーは、本村さんこだわりの銘柄をラインアップしています。「いままでウイスキーを飲んだことのなかった女性が、飲み方を覚えて好きになったこともありましたね」グラスを片手に、本の世界を旅する、八戸にちょっとした大人の時間の楽しみ方が増えました。

キーマカレー

おススメメニューは、オリジナルレシピでつくるキーマカレー。フライドオニオンとブラックペッパーがアクセントになっています。厳選したお酒のつまみも本村さんのオリジナルレシピ。食にもこだわりが光ります。

出張のお客さんから 「八戸は文化的なまち」と褒められます

八戸の魅力についてお尋ねすると、「お客さんから言われ、僕もそう思っているんですが、市が頑張っているという印象ですね。はっち、八戸ブックセンター、マチニワなどなど。出張で立ち寄ってくださったお客さまは、八戸は文化施設がたくさんある文化的な街という印象を受けたそうで、とても褒められました」
八戸在住者として、嬉しかったようです。

口コミ、SNSで拡散されたことで、地元のお客さんに加え、遠方からの出張で訪れたお客さんも立ち寄ります。本のまちを推進する八戸市にできた店ということもあって、地元紙をはじめとするメディアでも紹介され始めました。

本村さんは「細く長く続けていけるお店を目指したい」と語ってくださいました。

外観

AND BOOKS

ところ:八戸市十六日町48‐3 本多ビル2F
じかん:月・木・金  18:00~24:00
    土・日・祝日 13:00~24:00
定休日:火・水
ノーチャージ
Web:https://andbookshachinohe.storeinfo.jp/
Instagram:andbookshachinohe
Facebook:And Books