八戸市のリノベーション事例紹介

南郷島守の皆さんのおチカラで リノベーションを移住イベントに

コミュニティアーティスト 山本耕一郎さん

山本耕一郎さん

山本耕一郎さんと八戸市が出会ったきっかけは、2010年初夏、八戸ポータルミュージアムはっち開館記念プロジェクト「八戸のうわさ」です。

街とひとをつなぐコミュニティアーティストとして活動し、注目されていた山本さんのチカラを借りようと八戸市がプロジェクトの依頼をしたのです。

山本さんは延べ4ヶ月間八戸に滞在し、市民ボランティアの皆さんといっしょに、商店街の方々から自慢話や嬉しかったこと、趣味、悩みなどを精力的に聞き出します。そして、ひとつひとつをうわさ風にまとめたフキダシ型のシールにして、そのお店の窓ガラスや壁などに貼り出しました。

うわさプロジェクトを通して、山本さんは八戸のたくさんの方々と親しくなり、八戸に惚れ込んでいきました。

「八戸は人も文化も気候もしっくりときて、居心地がよかったですね。とにかく八戸との出会いがショーゲキでした」

山本さんは親が転勤族だったため、幼少期から各地に移り住んできました。それぞれの地域の良さに触れてきたなかでの八戸との出会いが、山本さんの心をつかみます。

大家さんとお会いして 30分で即決しました

山本耕一郎さん

「八戸への移住を決断したのは、2012年でしたね。せっかく都市部から離れるんだから、海か山に近い一軒家に住みたかったんです」

八戸のまちをにぎやかにしてくれた“あの山本さんが移住してくる”といううわさは、市役所をはじめ、プロジェクト関係者の間を駆け巡りました。

紹介され、すぐ出会った物件が、南郷区島守のとある本家。所有者が他県に移り住み、長年空き家になっていました。

「大家さんとお会いし、30分ほど話をして即決したんです。大家さんからご提示いただいた破格の条件は家賃月額1万円、仏間はいじらないことだけ。昔ながらの広い間取り、隣接する鳥居も気に入りました。家を守ってくれているようだったんでね」

人とのほどよい距離感を保ちながらつながっていった八戸での縁に、物件との出会いを委ねたのです。

地域の皆さんの力を借り ゴミ出しを一大イベントに

ただ、長年誰も住んでいなかったため、立派な家屋内は不要なものであふれていました。

しかし、そこはアーティストの山本さん、ポジティブに捉えます。

地域の皆さんの力をお借りし、「山本さんち 大掃除大会」を開催。不要物の搬出と床板張替えなどのリノベーションを、地域の楽しいイベントにしてしまいました。

山本さんち 大掃除大会
(写真提供:山本耕一郎さん)

山本さんち 大掃除大会
(写真提供:山本耕一郎さん)

約半世紀ぶりにやってくる移住者、地域の大切な本家に入居するという話題性もあって、住民の皆さんや八戸の友人など約40人が集まってくれました。

ひとりでは3年かかると言われた空き家の片づけが、どんどんはかどっていきました。

「床はがし大会」「壁塗り大会」と称して、当時この家を建てた大工さんや地元の工務店の職人さんも加わり、傷んでいた床板をはがし、床暖のため砂を入れ、杉板を打ち付け、リノベーションも行われました。

床はがし大会
(写真提供:山本耕一郎さん)

床はがし大会
(写真提供:山本耕一郎さん)

リノベーション

「山本さんち de レジデンス」が開催され、八戸のアーティスト正部家 耕司さんが襖絵を制作。オノ・ヨーコ、オードリー・ヘプバーン、マイケル・ムーア監督、小林眞八戸市長、壇蜜…山本さんのお気に入りの人々が描かれ、引っ越し祝いになりました。

襖絵
(写真提供:山本耕一郎さん)

襖絵

リノベーション

この一部始終は、山本さんちのブログやSNSで積極的に全国に発信されていきました。

よそ者だからこそできる すまもりの良いとこ探し

barスマモリ

山本さんは、リビングを一時的に開放し、南郷アートプロジェクトの一環として「barスマモリ」をオープンします。

住民の皆さんに集まっていただき、飲んで食べて気兼ねなくおしゃべりをしていただく場です。地域の皆さんや外部の方々をマスターに迎え、年8回ペースで開催しました。

ゆるく楽しく、時々この地域の将来にとって大切になるかもしれないキーワードが飛び出します。

ここで話題になったことを「bar スマモリ☆マスター対談」としてまとめ、地域全戸配布で新聞に折り込み、発信、公開していきました。

よそ者だからこそできる、すまもり(=島守)の良さ再発見の活動に、地元の皆さんも少しずつ興味を示してくれました。

翌年2013年、地域で唯一の保育所「島守保育所」の閉所が決まると、南郷アートプロジェクトの一環として、未来につなげるためのアートイベントを企画。「ありがとう島守保育所」が開催されました。

保育所内に1日限定のコンビニ「スマモリ」を開店し、子供たちがデザインしたお菓子のパッケージを、山本さんが形にして並べました。

また、ネットやSNSを通じて古本の寄付を呼びかけたところ、たくさんの方から申し出があり、図書館を開設することができました。

図書館

「応援してくださる皆さんがいるので、頑張りすぎず、ほどほどにやっていけるんです」

山本さんのすまもりでの活動は、八戸の街なかに面白く楽しいことを増やしていく集団「まちぐみ」の活動と並行して現在進行形です。

山本さんち

https://kasuga11.exblog.jp/

まちぐみ

http://machigumi.main.jp/about.php

南郷アートプロジェクト

https://www.nangoartproject.jp/