リノベーション基礎知識

住まいの新たな選択肢・中古住宅リノベーションの魅力

欧米と異なる日本の中古住宅市場

日本の住宅市場は新築住宅が主流で、中古住宅の流通規模は14.7%(2013年)※1程度と低いのが特徴です。
一方、アメリカでは83.1%(2014年)※1、イギリスは88%(2012年)※1となっており、欧米諸国と較べると、市場規模そのものがまったく異なります。
欧米では、ライフステージに応じて住み替えるのが一般的で、購入した中古住宅を休日にDIYで改修し、建物の価値を高め、再び中古住宅市場で販売するなど投資の対象にもなっています。

※1 国土交通省「第1回流通促進に寄与する既存住宅の情報提供制度検討会」(2016年12月19日)資料3 p.6

国も中古住宅の流通活性化を重要視

国では少子高齢化や人口減少等を背景に、住宅政策や住宅市場の在り方を見直し、2016年度から2025年度までの10年間の指針となる「住生活基本計画(全国計画)」を平成28年3月に閣議決定しました。
計画の中には中古住宅流通、リノベーション・リフォーム市場の活性化が盛り込まれ、新築住宅中心の市場から既存住宅活用型市場へ転換していく政策の流れになっています。

リノベーションとリフォームの違いって?

近年、中古住宅市場において、リフォームとは区別して、リノベーションという言葉がよく使われています。リノベーションという言葉に統一した定義はありませんが、ここでは、リノベーションの普及活動に取り組んでいる一般社団法人リノベーション協会※2が定めている内容についてご紹介します。

リノベーション協議会

  • リノベーション:機能、価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した包括的な改修
  • リフォーム  :原状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処

つまり、リノベーションとは、中古住宅を現代のライフスタイルに合った住まいによみがえらせる住む人に合わせた間取りや内外装の増改築など、新築時の状態より価値を高める比較的大規模な改修を指します。
一方、リフォームは、老朽化した建物を新築時の状態に戻すための古い設備の交換や汚れた壁紙の張り替えなど部分的な修繕を指します。

※2 一般社団法人 リノベーション協会ホームページ

住み替えがしやすい中古住宅

中古住宅は、購入やリノベーションにかかる費用を安く抑えつつ、ライフスタイルや住居への想いを投影した大規模な改修ができることが魅力です。
建物の状態にもよりますが、不動産評価額が大幅に下がらないこと、家族構成に合わせて住み替えができること、好立地の掘り出し物件に巡り合える機会がある等、新築住宅にない特長があります。
また購入の際、不動産業者に住宅診断(インスペクション)の説明が義務付けられ、住宅ローンの中には、購入やリノベーション費用に対応しているプランが用意されるなど支援体制が充実してきていることから、住まいの新たな選択肢として注目が集まっています。